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私が麻布を「すごい!」と思ったのは、その入試過去問を見た時でした。衝撃的でした。
後日知ったことですが、塾講師など中学受験に関わる方々から、「麻布の入試問題は日本一の良問」と評価されているそうです。
麻布を志望校として考慮するなら入試問題を知らないと、、、と思い、早速購入しパラパラ見始めると、4教科全ての質の高さに驚き、食い入るように見入ってしまいました。
以前、開成の算数を解いた時、ただただ疲れる問題だと思いました。しかし麻布の算数はどの問題もオシャレで遊び心があるように感じました。
例えば、算数の問題のうちいくつかの大問は(1)-(3)といった小問から構成されています。本当は(3)が一番大事な問題で、大人としては(3)を答えて欲しいのですが、いきなり(3)だけを出すと、小学生は解けません。そこで、、、比較的簡単な(1), (2)で練習したり、足場を作らせたりして(3)に導いているのです。この「導いている」というのが素晴らしい所です。まるで子供たちに「ここ(3)まで来てごらん。ここに来たら今まで見えなかった世界の広がりが感じられるよ。学問は面白いものなんだよ。」と先生方が言っているように思えました。
国語は最初、問題文の長さに圧倒されました。問題も記述が中心で、これは大変な試験問題であることがすぐに分かります。しかし、各問題を丹念に見ていくと、1つ1つはとても素直な問題です。さらに進めて全体を俯瞰すると、それぞれの設問につながりがあることが分かります。毎年2-3個の選択記号問題がありますが、これもそのつながりの中に組み込まれています。そしてこれらは最終問題に収束していきます。この最終問題と言うのは、ほとんどの場合、長い問題文の主題となっています。大学生であれば、「この本を読んで、著者の伝えたいこと、主題を述べよ」となるところですが、相手が小学生なので、それを1つ1つ細かく分けて、紡いで、最後の主題に「導いている」のです。
理科、社会も非常に特徴的です。身近な現象を観察し、そこから原則を見出そうとする理科。身の回りの世界を、様々な視点、複数の立場で見直す社会。どの科目も非常に練られています。
2021年の社会は以下のようなリード文で始まっています。先生方の子どもたちを見る温かいまなざしが感じられませんか?「子供たちを優しく学問の頂に誘導する。」これが私が麻布の過去問を読んで感じた第一印象です。
『ぼくは今日、麻布中学校の入試を受けている。今はちょうど昼休みだ。苦手な算数が思ったよりもよくできたので、少しほっとしながらお弁当を食べている。お母さんが作ってくれたお弁当の中身は、シャケと昆布のおにぎりが2つ。卵焼きにウインナー、キュウリとワカメの酢の物、そして自家製のぬか漬け。どれもぼくの大好きなメニューばかりだ。本当は鶏の唐揚げも食べたかったけれど、あぶらっこいものを食べ過ぎると午後の社会の時間に眠くなってしまいそうなので、今日はあえて入れてもらわなかった。唐揚げは家に帰ってから夕食に家族といっしょに食べることになっている。今から楽しみで仕方がない。まったく食べもののことを考えている場合ではないというのに。、、、、、』(2021年麻布中学入試問題「社会」より)
つづきます。
蛇足です。後日いくつかの学校の入試問題(算数)を見ていると、数学を利用している学校があることに気づきました。これは数学的帰納法だな、とか、漸化式だな、とか、メネラウスの定理だな、とか。これは、少しズルいように私は思いました。数学をモチーフに問題を作れば、小学生には難しいでしょう。一方、出題者としては作問が楽でしょう。麻布の算数は算数の範囲の中で美しく問題が作られています。出題者の腕が見えてきます。
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