本ブログの目次はコチラ。
麻布中学入試と開成中学入試の配点は以下の通りです。
算数 | 国語 | 理科 | 社会 | |
麻布 | 60点 | 60点 | 40点 | 40点 |
開成 | 85点 | 85点 | 70点 | 70点 |
まず開成の入試結果(合格者平均)について見てみます。
算数(85点満点) | 国語(85点満点) | 理科(70点満点) | 社会(70点満点) | |
2023年度 | 76.4点 | 55.6点 | 61.5点 | 57.9点 |
2022年度 | 60.7点 | 45.6点 | 54.0点 | 54.6点 |
2021年度 | 55.8点 | 58.0点 | 54.1点 | 49.9点 |
2020年度 | 49.5点 | 51.5点 | 56.0点 | 54.3点 |
2019年度 | 64.6点 | 50.1点 | 65.2点 | 52.1点 |
2018年度 | 73.9点 | 55.2点 | 58.2点 | 53.8点 |
細かい解析は専門家に任せるとして、素人視点で、すぐに分かるのは、高得点争い、ということです。2023年度の算数の合格者平均はほぼ90%の得点率です!他の科目でも80%得点率を超える年度がいくつかあります。
これは、開成中入試は「ケアレスミスをしてはいけない」試験とも換言できます。2023年度の場合、合格するには、他の科目の平均も高いので、算数は間違えてもせいぜい1-2問くらいまでだったのではないでしょうか。本当は実力があるのに、足し算や引き算のミスで残念だった子もいたはずです。
「ミスも実力のうち」なんて発言をよく耳にしますが、そんなことはないと思います。中学受験合格という限られた範囲で言えば、そうなのかもしれませんが、、、。計算なんてパソコンでできますし、そもそも数学者は計算が得意でない人が多い、問題を解くのが遅い人が多い、とも聞きます。数学者の藤原正彦さんの著書『遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス』や『若き数学者のアメリカ』を読めば、いかに、しぶとく、深く考え続けられるか、ということが大事だと分かります。このことは他の分野でも同じではないでしょうか。時間をかけて、深く、深く、思考の海を潜っていく、という感覚です。
中学受験界における、この「ミスをしてはいけない」という傾向は、息子が4年生の時に中学受験勉強を始めてから、すぐに違和感として私には感じられました。約40年前に私が中学受験の勉強をしていた時は、(最初、武蔵対策をしていたからかもしれませんが、)面白い解き方や美しい解き方を良し、とするような風潮がありました。しかし、息子がサピックスに入塾してマンスリーや組み分けテストなどテストを受ける中で、今は、「ミスしないこと」が重要視されていると気づきました。息子はケアレスミスが多く、毎回、マンスリーでは70-80点分くらいはケアレスミスで落としていました。(ケアレスミスについてはいつか項目を改めて記載します。)
「ミスできない」というのは「失敗できない」というわけで、、、これを小学生の頃から叩きこまれるのってどうなんだろう、と思いません?子どもは失敗しながら成長するものでしょう。中学受験だけでなく、サッカーや野球などのスポーツを頑張る子たちにも共通する問題ですよね。
「失敗できない」というのは社会の雰囲気にもあります。仕事で大きなミスをすると、日本ではキャリア上、再出発しにくい、ということがあります。私を含めて親御さんたちには、そのようなプレッシャーの中にいる方も少なくないはずです。
じゃあ、開成が平均点を下げるためにもっと難しい問題を出したらどうでしょう?
きっと、各塾はそれに対策を練ってくるはずです。そしてそれは小学生たちの負担を増やすことに繋がります。不健康です。
開成中学の算数の合格者平均点(得点率)が、たった4年間の間に58%~90%と大きく変化していることは、単に、開成が作問がへたくそ、ということを示しているのではなくて、開成が社会的責任を感じ模索し、試行錯誤していることを表しているように、私には思えます。問題を簡単にすれば、「ミスできない」試験になりますし、問題を難しくすれば、将来、子供たちの負担が増えます。多くの塾の目標となっている開成だからこその悩みだと言えます。
つづきます。次は麻布です。
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