【本の紹介】「シャンシャン、、、」と「あの子のことは、、、」

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今日の「本の紹介」コーナーでご紹介するのは以下の2つです。

『シャンシャン、夏だより』(浅野 竜 (著))

『あの子のことは、なにも知らない』(栗沢 まり (著))

2冊の別の本を同時に紹介するのもどうかな?って思いますが、、、なんとなく似ているところがあるので。

児童書を読み始めて気づいたことの1つが、、、小学校高学年~中学校の生徒が主人公の時、友達や同級生の家族のことや背景、ルーツを知ることで、「自分と同じじゃないんだ」と気づいていく、という感じのお話が多いな、ということです。この2冊でも主人公は友人や同級生とのかかわりを通じて、自分との違いに気づき、自分のこれまでの発言や行動を反省していきます。

『シャンシャン、夏だより』は、息子が小学校6年生の時に発刊された本で、色んな所で、「この本はきっと中学受験で出題されるぞ」と紹介されていたので、読んだことのある人も多いかもしれません。「シャンシャン」とはなにか、ここでは記載しませんが、この本で表現されている探求心は「研究」の基本にあります。大人になっても忘れないで欲しい、気持ちです。

一方『あの子のことは、なにも知らない』は「正義とはなにか」ということをモチーフにしていると感じました。『正義の教室』では正義を3種類(平等、自由、宗教)紹介していますが、『あの子のことは、なにも知らない』では登場人物がそれぞれ、その3種類の間を行き来します。正解のない問題を考える、という点で麻布向きですし、生活していくうえで必要なことだと思います。(息子は、『正義の教室』は読んでいません。が、内容を解説し、一緒に考える時間を設けました。)

個人的なことではありますが、私自身は3種類の正義の中では、「自由」にさせて欲しいと思うことが多く、「みんなで何かしよう」というものをすんなり受け入れることができない場面がしばしばあります。

その1つの例が、開成時代の運動会です。卒後40年近く経過した今でも、同窓会や開成会の集まりに出席すれば、

「君は何組だった?」(高校生は1学年8クラスあります)

ー「白組だった(=高校3年時に2組だったということ)」

ー「橙組だった(=5組ということ)」

といった会話が普通にされます。

運動会の色でクラスを答えるなんて、他の学校出身の方から見たら奇異に映るのではないでしょうか?そもそも「開成生ならば運動会好きである」というのが前提にある会話ですよね。

私は、運動会が好きでも嫌いでもなく(どちらかといえば好きだったかな、くらい)、非常に熱心だったわけではありませんでした。むしろ、上記のような、「開成生であれば運動会で熱くなるべき」みたいな雰囲気、そしてそれに乗り切れなければ「つまらない奴」とか「ノリが悪い奴」といった雰囲気が苦手でした。今風に言えば、運動会そのものではなく、それにまつわる同調圧力がいやでした。

たまに、「開成は運動会に向かって学校全体が1つになって素晴らしい」という論調を耳にしますが、これって素晴らしいことですか?学校に対する目的や背景が異なる人たち、全校生徒2100人、が1つになるなんてありえませんし、仮にもしそうだとしたら気持ち悪くありません?「1つになる」ということは、それだけで素晴らしいのではなく、個々の背景に依存して、様々であるはずです。

というわけで、多様性やグローバルなんて言いながらも、上記のように、卒後何十年経っても、相手の思想や背景を考慮せずに、「開成生=運動会」で話しかけてくるOBを見ると、「なんだかなぁ」と思います。以上は正義の中の「自由」を良しとする私の個人的な経験や意見であって、一般論ではありません。

『あの子のことは、なにも知らない』で表現されていること(中学校卒業にまつわること)も似ていて、「この学校では、自分はやっていけないなぁ」と感じる場面が少なくありませんでした。

「他人と自分の違いを認識すること」「答えのない問題を考えること」は高学年の小学生にとってとても大事なことです。是非、ご一読を。

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